京都・東山七条の三十三間堂のほど近くに、築100年の素敵な洋館があります。
そこは、センスあふれる手紙や葉書、ぽち袋が揃う紙文具&雑貨ショップ・裏具。
和洋が絶妙に調和するモダンな空間で、新しいコミュニケーションを提案するカタミチテガミに出会いました。

カタミチテガミは、裏具が発明した新しい手紙のカタチ。カタミチテガミの便箋セットを購入することで、見知らぬ「誰か」に宛てた手紙を書き、「誰か」からの手紙を受け取ります。かつての文通相手募集コーナーのようなこの取り組みは、なぜ生まれたのでしょう?アート・ディレクターの佐々木まなびさんを訪ねました。
「メンバーからこのアイデアが出てきた時、皆がワクワクしたんですよね。そうか!相手を知らないほうが、気軽に書きやすいのかもしれない、と。それに、デジタルな時代の今だからこそ、人のぬくもりを感じるとうれしくなりますよね。」
喜び、記憶、好きなこと、身近な人には言えない本音。宛先が知らない誰かなら…あらフシギ、「すーっと書けてしまう」なんてことも。一方で、白紙の便箋を前に1文字も書けない人もいます。佐々木さん、そんな場合はどうしたら?

カタミチテガミ セット 税込715円

「大丈夫!どなたでも書くきっかけが得られるよう、様々なテーマをご用意しています。」たとえば、どのようなテーマでしょう?「夜と朝、どちらが好きですか?」「好きな映画の話を聞かせてください。」「どんな風に歳を重ねたいですか?」ふむふむ、それなら気軽なおしゃべりのように書けそうな…。「煩悩の数と言われる108のテーマを揃えています。」と佐々木さんは微笑みます。
「テーマについてじっくり考えていたら、自分と向き合うきっかけにもなりました。」裏具には、そんな感想がたくさん届きます。また、手紙を受け取った方から「亡き母からの言葉に思えて、心にしみました。」というお声をいただいたことも。書くことで気持ちが整理されることもあれば、手紙の先にある人生に想いを馳せることもある。手で書く「言葉(ことのは)」の尽きせぬパワーを、裏具の皆さんも再発見したのだそうです。

アートディレクター:佐々木まなびさん

カタミチテガミは匿名でのやりとりとなるため、裏具による簡単な内容確認を経て、カタミチテガミに参加した誰かに届きます。皆さん、どのようなお手紙を書かれているのでしょう?
「詳しくは言えませんが、公開許可していただくものだけでも相手の幸せを願う言葉や『ありがとう』と書く方がこれほど多いとは、私たちも予想していませんでした。別便でスタッフへの感謝のメッセージもたくさん寄せられ、感激しています。」
手書きの文字や紙の折り目に人の息づかいを感じるからこそ、言葉や気持ちをいっそう大切に扱いたくなるのかもしれません。そして、受け取った手紙は「#カタミチテガミ」というワードで、SNS上で公開されているのがなんともイマドキ*。自分だけの内緒の交流はアナログで、うれしい気持ちの共有はデジタルで。懐かしくて新しいコミュニケーションは、じわじわと楽しく広がっています。※SNS等での公開は、裏具が公開可否をご確認、ご了承いただいたものを公開されています。

カタミチテガミの便箋と封筒はと言うと、デザインそのものも素敵。「徒然草」「不思議の国のアリス」「銀河鉄道の夜」などの物語モチーフになっているシリーズもあり、「改めて本を親しむきっかけづくりにもなれば」と、幅広い年代の方に愛される不朽の名作をピックアップ。便箋には、物語の一節がまるで絵のように綴られています。かと思えば、カラスやイモリのユーモラスな姿に思わずクスッと。「想像がふくらんで、思わず書きたくなるように。書く人や文字が、主役になるように。そんな想いを込めてデザインしています。」
言葉を通じて、誰かと心が通じ合えること。それがこんなにも愉しく、ワクワクするものだったなんて。そんな気づきをくれた、裏具での素敵なじかん。キラキラと虹色に輝くじかんを、毎日の暮らしに少しずつ積み重ねていけたら…。そんな願いをのせて、今後も虹色のトピックスをお届けしていきます。

2022年1月現在の情報です。

■裏具

京都市東山区塩小路通大和大路東入3丁目本瓦町672番地
TEL. 075-744-6540
営業時間/11:00~17:00 定休日/月・火曜(祝日の場合は営業)http://www.uragu.com※営業時間・定休日は変更となる場合がございます。ご来店前に店舗にご確認ください。