2021 WINTER

新しい企業支援で、静岡を元気にしずおかMIRUIプロジェクト

しずおかMIRUIプロジェクトを牽引する皆さん。左から静岡新聞SBSの村松彩月さん、大久保友恵さん、鈴木俊夫さん、
松坂屋静岡店の木庭英之さん、株式会社パルコの堀岡幸喜さん、静岡新聞SBSの荒井ちづるさん。
「みるい(MIRUI)」は、静岡弁で「未熟、若い」を指す言葉です。
静岡県内の企業やショップの“みるい”夢を、ともに育てたい!
そんな志のもと、松坂屋静岡店、パルコ(静岡パルコ クラウドファンディングBOOSTER)、静岡新聞SBSが一体となり、地域に芽吹く新しいチャレンジを支援しています。
今回は、静岡からワクワクを発信するプロジェクトの最前線をご紹介します。

静岡の産業を元気にしたい

「静岡は全国有数の“ものづくり県”。プロジェクトを通して、きらりと光る企業や伝統産業の意欲的な取り組みをお手伝いし、静岡を元気にしたい、というのがプロジェクトの出発点です。」とお話しくださったのは、松坂屋静岡店の木庭英之さん。「支援方法の主軸は、インターネットを介して支援を募るクラウドファンディング。とはいえ、資金調達は目的ではなく手段。チャレンジを通して感動や発見を広げることがゴールです。」と、株式会社パルコでクラウドファンディングBOOSTERを運営している堀岡幸喜さんの熱いお話も続きます。
これまで対象となったチャレンジは23件で、総調達金額は約1,800万円に(2021年8月現在)。事業アイデアの実践に向けたアドバイスも行いながら、松坂屋とパルコは店舗での紹介やSNS発信、静岡新聞は自社メディアでのPRを担当し、各社の強みを生かした支援を展開しています。

ロゴの「U」の字は茶の湯飲み、なだらかな曲線は静岡の山と海をイメージ。「U」の上下を転換すると「A」となり、「MIRAI=未来」に! 「誰だって最初は“みるい”。成長することで明るい未来へつなげる」というメッセージが込められています。これまでのチャレンジは、「屋内のわさび栽培に挑む」「ネオン管をアートとして再生させたい」といった独創的な内容がいっぱい! 木庭さんも、「静岡の企業・ショップの多様性とポテンシャルに、私たちも驚いています。」と言うほど。「プロジェクトを通して、皆さんが自信を深めていく様子を見るのがうれしくて。」と堀岡さんも目を輝かせます。お2人は、プロジェクトを通じた新しいイノベーションにも期待しているそう。今後もどのような花を咲かせるか、MIRUIプロジェクトの動きに目が離せません!

しずおかMIRUIプロジェクト
クラウドファンディングサイト

MIRUIプロジェクトの挑戦:01

こんにゃくラボ
3代目の母・悦子さんと真紗美さん

逆境のこんにゃく業界に光を

静岡県焼津市で90年以上続く老舗の岩崎蒟蒻(こんにゃく)店で、4代目を継ぐ岩崎真紗美さん。自店を営むかたわら、岩崎さんは静岡の老舗こんにゃく店の倉島食品との合同会社・こんにゃくラボを立ち上げました。
「こんにゃくの全国消費額は、この30年で半減しました。今こそ同業で連携して新たな挑戦を仕掛け、こんにゃく業界を楽しく盛り上げたくて。」と岩崎さんは意気込みを語ります。店内で行われていたのは、バタバタと音を立て空気を含んでこんにゃくを練る、昔ながらのバタ練り製法。生地に含まれる気泡が弾力を生み、味がしみやすいこんにゃくは、寿司ネタにもなるほど上品な味わいです。「本来のこんにゃくは、食卓の主役をはれるおいしさ。脇役イメージを覆したいです!」

全国からの応援が励ましに

こんにゃくラボのチャレンジは、「低カロリー」「低糖質」「豊富な食物繊維」という魅力を生かした新しいこんにゃく食品を生み出すこと。「健康志向の高まりを追い風に新しい市場を開拓し、世界に向けた発信も行いたい。」と岩崎さん。その第一弾が、こんにゃくヴィーガンミート※の開発です。「しずおかMIRUIプロジェクトは、支援金で試作品を作り、消費者の率直な感想を聞くためのテストマーケティングの機会と位置付けました。」
エネルギッシュに活躍の幅を広げる岩崎さんは、全国の個性あふれる女性起業家を表彰する「J300アワード(女性社長.net編集部・内閣府共催)」で2019年度大賞に選ばれました。現在は、試作・改良を進めてこんにゃくヴィーガンミート発売を目指しながら、こんにゃくパンやスイーツの開発にも取り組んでいます。「コロナ禍をきっかけに、自分のなかの郷土愛に気づきました。世界への発信と地域振興を、これからのテーマにしていきたいですね。」と語る笑顔は、キラキラとまぶしいほどでした。
※植物由来のもので作ったお肉の代替食品

岩崎蒟蒻店
425-0031 静岡県焼津市小川新町1-5-14 TEL.054-628-2788

https://iwazaki-konnyaku.jp/

MIRUIプロジェクトの挑戦:02

プログレス

独自のテクノロジーをアートに

PROGRESSは、宇宙開発技術を応用した静岡発ジュエリーグラスブランドです。「初の直営店をつくりたい」というそのチャレンジは、しずおかMIRUIプロジェクトで最多の支援者と支援金額を集め、2021年3月に念願の予約制直営店「LIMITED」をオープンさせました。スタイリッシュな直営店で迎えてくれた小長井克久さんは、一からブランドを育て上げたジェネラルマネージャー。まず最初に、PROGRESS誕生のきっかけについてお話しいただきました。
「PROGRESSの母体は父が創業した会社で、独自のコーティング技術を活用したものづくりを行ってきました。そのなかで私は、宇宙開発技術や自動車部品加工で磨いたテクノロジーを活用した新しいビジネスの可能性を探ってきたのです。」
たまたま家でワインを飲んでいた時にグラスの開発をひらめき、自社で開発した機械を使って、困難とされるガラスのチタンコーティングに挑戦。試行錯誤の末に、他社には真似できない、虹色に輝くグラスが完成しました。

小長井克久さん

「美しい」に境界線はない

小長井さんは海外での展示会出展を積極的に進め、確かな手ごたえを感じます。「世界を知るにつれ、『美しさや美を感じる心に境界はないんだな』と実感して。瞳や肌の色、文化や信仰の違いを超えて認め合える世界への想いを込め、テーブルウェアで世界初の『ジェンダーレスブランド』を名乗るようになりました。」
見る角度によって色を変えたり、絶妙なグラデーションを奏でたりするPROGRESSのグラスには、色の境界は見あたりません。「ナノレベルで調整するチタン膜の厚みで光を屈曲させ、色を出しています。言うなれば、虹やオーロラをグラスに創出しているのです。」
自由な発想で、様々な境界を軽やかに超えていく。だからこそ、国境を超えて人々を魅了し続けているのでしょう。
※扱う尺度がナノ(10億分の1)の水準。

多くの発見を得られたチャレンジ

しずおかMIRUIプロジェクトを知った時は、「ワクワクしかなかった」という小長井さん。「クラウドファンディングは、お客様の反応を探る貴重なチャンス。また、松坂屋さんとパルコさんの店頭でブランドの紹介をできたことが、ステップアップにつながりました。」 さらに、“店頭でひとめぼれして支援を決めた”というお声が多かったことも、直営店への想いを強めました。「実物に触れられる実店舗のパワーを痛感。松坂屋の木庭さんやパルコの堀岡さんに、店づくりや商(あきない)についていろいろと教えていただけたことも大きな収穫でしたね。」

直営店から広がる夢

「LIMITED」という名前の通り、直営店は「ここでしかできない限定コンテンツを体験できる空間」です。実験的な仕掛けやおもてなしを楽しみ、五感を使ってグラスを選び、ブランドの世界観を体感できるようになっています。
訪れたお客様には、静岡の緑茶をベースにしたウェルカムドリンクをサーブ。繊細な口あたりを、実際に味わっていただきます。中央のテーブルは、グラスを主役にしたアート映像が楽しめるテーブルマッピングの舞台にもなります。グラスが映像によって表情を次々と変える姿に、時を忘れて見惚れてしまいます。
PROGRESSの今後の展望について、お伺いしました。「オクシズ(静岡市の中山間地)の森で音楽とお酒を楽しむ屋外イベントなど、試したいアイデアがいっぱい! 食のプロデュースにも興味があります。この店を静岡が盛り上がる新しいカルチャーの発信拠点にしていきたいです。」 直営店をきっかけに、さらに夢をふくまらせる小長井さん。PROGRESSの進化は、境界なく未来へと続きます。

テーブルに映像を映すと、グラスの表情が七変化。 ご自宅の食卓に似た素材の映像で、使用感を確かめることもできます。

PROGRESS〈直営店〉
〒420-0064 静岡市葵区本通7-10-8-103

http://nissho-kogyo.jp/wordpress/
  • 心斎橋店〈8階〉ぬりもん
  • 神戸店〈7階〉和食器
  • 梅田店〈12階〉和食器
  • 静岡店〈6階〉和食器

※店舗により、取り扱い商品が異なります。また、手作りの品になりますため、お取り寄せに数ヶ月お時間を頂戴する場合がございます。
※2021年9月末の情報です。

  • 前の記事
  • 一覧に戻る
  • 次の記事