2021 SUMMER

VOICE
谷 京子さん大丸京都店 営業推進部 古都ごとく京都プロジェクト担当

京都の底なしの魅力

谷 京子さん らくたび京町家(村西家住宅)にて
谷 京子さん
らくたび京町家(村西家住宅)にて

大丸京都店からすぐ近くに位置する、国指定・登録有形文化財の「らくたび京町家」(村西家住宅)へご案内いただき、街中に残る京町家の美しい佇まいでお話を伺いました。風情豊かな空間で迎えてくれたのは、「古都ごとく京都プロジェクト(略称:KKP)」に携わる谷京子さん。KKPは、京都を学び、伝え、ともに発展していくことを目指し、大丸京都店が2018年から始めた取り組みです。その一員として活躍する谷さんは京都生まれの京都育ち。KKP発足の前から、京都の底なしの魅力に心惹かれていたそうです。
「京都でずっと暮らしていても、まだまだ知らないことばかり。17年前、京都検定*のポスターを偶然見かけて、気軽に受験したら不合格。そこで京都について真剣に学び始めたら、見事にハマってしまって(笑)。」と谷さん。町には歴史ある地の由緒を知らせる駒札や石碑があちらこちらに。空をあおげば、京町家の屋根には守り神の瓦人形“鍾馗(しょうき)さん”。「歩くだけで発見があり、町がいろんなことを教えてくれます。」
*京都商工会議所が主催する「京都・観光文化検定試験」の略称です。

古都ごとく京都らしさを

もともとは、大丸京都店の化粧品売り場のご担当で、皆様の“キレイ”をご提案するエキスパートでした。京都生まれ京都育ちの生粋の“京都好き”の好きが高じて京都検定1級を見事に取得。その後KKPの担当に抜擢され、「微力ながらお役に立てるチャンスに心が躍りました。」と谷さん。「京都の素敵なところを百貨店として発信し、京都らしいおもてなしに活かしたい」と、さまざまな活動を始めることに。
唐紙の雲母唐長さんが主催された「平成の百文様」プロジェクトでは、後世に残したい100の文様をつくる取り組みに、大丸京都店も参画。社内公募を募り多くのご応募があったなかから、「大丸に人々がつどい、輪のように連なりあって、未来永劫みんなが幸せで繁栄し続けますようにと願いを込めた『日向(ひなた)大紋』『影大紋』という2つの文様を共同製作しました。」 その文様は、大丸京都店の店内を飾り、皆様をお迎えしています。
また、新選組の隊服「だんだら羽織」を当時の大丸が受注を受けたといわれるご縁を活かしたプロジェクトも立ち上げ、京友禅の千總さんや草木染の染司よしおかさんなどのご協力も得て、当時の隊服の復元がかない、新選組ゆかりの壬生寺に奉納。「いずれも、未来の京都を見すえ、歴史のバトンをつなぎたい思いの結晶です。」と目を輝かせる谷さん。好きが高じたまさに「ドリームジョブ」と、多くの方々に支えられ、共に未来へつなぐ今後の活躍に目が離せません。

店内の丸柱や地下道、正面ウインドウなどに「日向大紋」のデザインが。1階店内ご案内所には本物の唐紙でデザインされています。 ⓒ雲母唐長

  • 大丸京都店3階西エスカレーター北側
    大丸京都店3階西エスカレーター北側
  • 地下道ショーウインドウ
    地下道ショーウインドウ

ご縁をつなぎ、未来へつなぐ

「新しい取り組みに次々と挑戦できるのも、ご縁に恵まれたからこそ。私自身もいただいたご縁を次につないでいきたい。人と人のご縁が長い歴史のなかで積み重なり、独自に熟成されたのが、京都の真の魅力だと思っています。」
ご案内いただいた京町家に拠点を構え、京都の歴史や文化に特化した事業を行う会社「らくたび」さんにも、京都学の講師としてお世話になり、大丸京都店を上げて勉強会を開催し、ことごとく京都を学んでいます。そして、行政、寺社仏閣、京都の老舗、美術館など多分野の方々との交流を通じて、谷さんは京都をもっと深く知り、学びたいと、業務のかたわら京都産業大学の特別客員研究員となり、おもてなし文化の研究にも取り組まれました。大丸は、京都発祥の百貨店。私たちも、『ようこそお越し』の心を京都らしく感じていただけるようなおもてなしの形を探り続けたいです。」
京都ならではの魅力を、人と人の出会いを大切にしながら、未来へ守り伝えるKKPと谷さん。“大”の字の文様のようなご縁と幸せつなぎは、これからも豊かに広がり続けることを願っています。

旅行・講座・出版などで京都の魅力を発信している「らくたび」代表 若村 亮さんと谷さん
旅行・講座・出版などで京都の魅力を発信している「らくたび」代表 若村 亮さんと谷さん
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