2021 SPRING

美しい味を訪ねてアートな“進化する”和食Kyo gastronomy KOZO(キョウ ガストロノミー コウゾウ)

マッシュポテトとフォアグラクリームの苔テラリウム

唯一無二の京ガストロノミー

閑静な京都御所の南に店舗を構える、Kyo gastronomy KOZO。京和食と分子ガストロノミーを融合させた新しい感覚のお料理を提供されている、注目のレストランです。
分子ガストロノミーとは、瞬間燻製や真空調理といった化学実験のような手法を駆使する料理のこと。オーナーシェフの野田 耕三さんは、偶然、外国のお客様との会話から分子ガストロノミーを知り、世界の最先端をいく料理に魅せられました。
野田さんが取り組まれているのは、京都で生まれ育った“自分にしかできない”ガストロノミーです。さまざまな店で習得した和食を軸に、フレンチやイタリアンの要素もプラス。これまでの出会いを通じて感性に響いたものを軽やかに取り入れ、進化し続けています。料理のインスピレーション源は、おもに自然から。幼い頃に慣れ親しんだ京都・美山の美しい風景や自然を大切に想う気持ちが表現されています。

ショーのような美しいプレゼンテーション

なんと!! 実はマッシュポテトのひと皿。グラスの中が優美な日本庭園のような「苔テラリウム」は、店を代表するスペシャリテです。マッシュポテトとフォアグラクリームをベースに、古代米や胡麻、マイクロリーフ、ほうれん草パウダーなどで土や緑を表現。桜の花びらで彩りを添えて、春を感じさせます。
次の感激は、瞬間燻製させたスズキのムニエル。スモークの香ばしさとフレッシュ感を贅沢に味わえる一皿です。牡蠣と白菜と九条ネギのテリーヌは、絵画のような美しさにうっとり。フレンチ風の演出ながら、だしのゼリーと柚子を使った和の味わいという意外な味付けに、ハッとさせられます。
フィナーレのデザートには、“だまし絵”という意味をもつトロンプルイユ。「だまし絵のようにまず違和感を感じてほしい」という想いが込められた、パティシエ経験のある野田さんのセンスあふれるひと品。グラス口より径が大きいクッキーにアイスやメレンゲ、ベリー類が美しく盛りつけられ、「どうやって盛りつけるんだろう?」と、ときめきが続きます。

左:スズキのムニエル、アンディーブとプチヴェールとセミドライトマト、炙ったウニのソース、瞬間燻製。これぞ、京 ガストロノミーなひと皿。
右:牡蠣と白菜と九条ネギのテリーヌ

「ときめき」も、美味の大切な要素

京都・美山の苔を取り入れた店内から見える坪庭、和洋をミックスした器使いなどにも、洗練された感覚と自由なマインドが息づきます。また、お酒好きに見逃せないのが、日本酒とのペアリング。上質なだしを中心に、醤油、味噌など和の素材を使った味わいは、日本酒がよく合います。野田さんがセレクトする日本全国の美酒との出会いは、大きな楽しみです。
Kyo gastronomy KOZOが提案するのは、料理の域を超えた、ワクワクたっぷりのエンターテイメントの世界。味、香り、見た目、食感など、五感はもちろん、驚きやときめきも含めた体験が待っています。

左:トロンプルイユ バニラアイス、ホワイトチョコのエスプーマ、いちごとベリーとシュクレフィレ (写真は取材用のサーブになります)
Voice:

オーナーシェフ 野田 耕三氏

一から独学で技を習得

祖父は京都の老舗珍味店「野田屋」の創業者。父はその珍味を生かした料理店「京 泰山木」の店主。そんな環境で育った野田さんは物心ついた時から料理の道を志し、かつて「京 泰山木」の料理長として腕をふるっていました。
分子ガストロノミーと出会った野田さんは、すべて独学でテクニックを身につけた努力の人。「見よう見まねで試作を繰り返しました。」 深く学ぶほどに「これまで経験してきたことすべてを、味で表現する場を持ちたい」という想いが高じ、自店をオープンさせました。

五感と自分らしさを大切に

「数ある芸術のなかで、五感を総動員して堪能できるものは料理だけ」と目を輝かせる野田さん。研究者のようにアイデアを練り続け、少年のような遊び心を料理にトッピングしています。
土地に根差した素材を使う「テロワール」も大切にしている考え方。「母の実家がある京都・美山の米やジビエなど、地元の素材をなるべく使い、味や盛りつけにも京都らしさを意識しています。」 一皿一皿に、野田さんが大切にしてきた物語がある。だからこそ、その味が多くの人の心を動かすのでしょう。

お客様の感動が原動力

オープン直後から評判を呼び、多忙が続いた野田さんですが、コロナ禍による自粛期間があったことで、あらためて「お客様に支えられて自分がいると、よりいっそう感謝の気持ちが深まりました。」といいます。「料理をお出しした時のお客様の目の輝きが、やりがいのもと。もっと喜んでいただける、自分らしい料理を極めていきたい。」
野田シェフのこれからますますの進化に、目が離せません。

Chef’s Morning

いい一日をはじめるための、
シェフの朝ごはん

朝は和食派の野田シェフ。元気の源、シェフの朝ごはんをご紹介いただきました!!

Kyo gastronomy KOZO
(キョウ ガストロノミー コウゾウ)

京都市中京区富小路通竹屋町上ル
桝屋町325-3 森田ビル1F
TEL.075-211-1988
営業時間/12:00〜14:30/18:00〜22:30
※ランチ12:00ご入店一斉スタート
ディナー18:00/19:30ご入店一斉スタートの2部制
※予約可能時間…ランチ12:00、ディナー18:00/19:30
定休日/月曜日(祝・祭日の場合は翌火曜日)、その他不定休あり  https://kyo-gastronomy-kozo.owst.jp/
※事情により、営業日・時間等が変更となる場合がございます。

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